夜勤や激務から抜け出したい。看護師免許を、もっと別の形で活かしたい。
そう考えたときに候補に上がるのが、アートメイクアーティストという働き方です。針で皮膚に色素を入れる医療行為なので、施術できるのは医師か看護師だけ。看護師免許が、そのまま武器になります。
ただし、いちばん大切な前提があります。アートメイクができるのは「病院・クリニック」の中だけです。医師の指示があったとしても、サロンやマンションの一室での施術は法律違反になります。2025年の2つの通知で、この線引きが明確になりました。
この記事では、看護師限定のアートメイクスクール「8アートメイクスクール」の特徴・費用・注意点を、公式サイトと厚生労働省の通知をもとに整理します。「学んだあと、どこで働くのか」まで含めて確認していきましょう。
正直に書きます。
私は、アートメイクを受ける側の目で、この記事を書き始めました。
受けてみたい、と思ったことはあります。
ただ、いちばん気になったのは、値段でも仕上がりでもなく、「これを施術しているのは誰なのか」でした。
針で皮膚に色素を入れる。れっきとした医療行為です。誰がやっているのか分からないまま、顔に針を入れることはできない。私はそこで、調べるのを止めました。
この記事は、その続きです。受ける側から気になったことを、今度は「施術する側になる人」の立場から、調べ直しました。
8アートメイクスクールの公式サイトは、こちらから確認できます。
8アートメイクスクールとは?基本情報
公式サイトで公開されている情報は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 看護師免許をお持ちの方 |
| 運営 | 株式会社8Artmake |
| 代表 | 村田 葵 氏(元病棟看護師/アートメイクアーティスト) |
| 受講スタイル | 東京銀座 通学コース/全国オンラインコース |
| 習得内容 | 眉(2D・3D・4D・パウダー等)、リップ、ヘアラインなど |
| 代表の施術実績 | 5,000症例超(学校の公表値) |
| 講師 | 代表を含む4名(かほ先生・みさきん先生・渡辺先生) |
| 通学コースの特徴 | 座学後6ヶ月間、提携クリニックでのモニター施術が回数無制限 |
| 卒業後サポート | 提携クリニックの紹介、地元でのクリニック開拓サポート、技術相談Zoom |
「看護師免許保有者が対象」と公式サイトに記載があります。 准看護師についての明記は、私が確認したページでは見つかりませんでした。詳細はQ2で整理しています。
スクールが挙げる4つの強み
ここからは、公式サイトでスクールが挙げている強みを紹介します。内容は学校側の説明なので、その点を踏まえて読んでください。
強み1|モニター施術が6ヶ月間・回数無制限(銀座通学コース)
アートメイクは、知識より手の感覚で覚える技術です。人工皮膚で自主練習を重ねたあと、提携クリニックでのモニター施術を6ヶ月間・回数無制限で積めます。
公式サイトでは「他スクールのモニター件数が2〜14件であるのに対し、8アートメイクスクールは無制限」と説明されています。
また、公式サイトではモニター施術1件ごとに収入が発生すると説明されており、学びながら費用の一部を回収できる設計だとされています。ただし、これは学校の説明であり、実際に何件担当できるかは提携先の状況によります。
強み2|施術する場所の確保をサポート
アートメイクは医療行為なので、エステサロンや自宅では施術できません。医療機関とつながる必要があります。
公式サイトでは、提携クリニックの紹介に加えて、地元でのクリニック開拓サポートまで行うと説明されています。「技術は学んだけど働く場所がない」を防ぐ設計です。
強み3|集客まで含めたカリキュラム
技術が高くても、お客様が来なければ収入になりません。公式サイトでは、SNSの専門家が監修した集客カリキュラムが受講料に含まれていると説明されています。
強み4|全国のオンラインコース
東京への通学が難しい方向けに、オンライン完結型のコースもあります。将来的には大阪・福岡・北海道への拠点展開も予定と公式サイトに記載があります(予定であり、確定ではありません)。
8アートメイクスクールの公式サイトは、こちらから確認できます。
受講料について
スクール選びで必ず確認したいのが総額です。公式サイトで案内されている料金は次のとおりです。
| コース | 受講料 |
|---|---|
| 東京銀座 通学コース | 100万円 |
| 全国オンラインコース | 50万円(差額50万円で銀座通学コースへ移行可) |
公式サイトでは「SNS講習・座学練習物品代・卒業後サポートが込み」であることも説明されています。他校ではSNS講習が別途8〜30万円かかる場合もあるため、総額で比べる必要があります。
100万円は決して小さな金額ではありません。 「1年以内の費用回収を目指せる」と公式サイトにありますが、回収できるかどうかは技術の習得度と、通える時間に大きく左右されます。
ここで、私の考えを書いておきます。
100万円。この数字を見て、私は少し身構えました。
借金してまで払う金額ではない。 そう思います。
教育ローンを組んで、分割にして、回収できる前提で申し込む。その進め方は、たぶん順番が逆です。
回収できるかどうかは、受講したあとの自分の時間と、手の技術で決まります。申し込む前には、誰にも分かりません。
分からないもののために、先に借りる。ここが、いちばん危ない入り口だと思っています。
相談のときに、「自分の生活で週に何回施術できるか」を具体的に聞いてみてください。 そこが費用回収の現実的なラインになります。
※料金は変更される場合があります。必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。
受講後のキャリアモデル|安全な順に3つ
技術を身につけたあとの働き方は、大きく3つあります。どの形でも共通する絶対条件が1つあります。それは「医療機関の中で、医師の指示と監督のもとで施術する」ことです。
1|美容クリニック専任アートメイクナース
美容クリニックに看護師として勤務し、医師の管理下でアートメイクを担当する形です。
いまの法律の下では、これが最も安全で安定した働き方です。 転職時に即戦力として評価されやすく、夜勤のない勤務体系も選びやすくなります。最初はこの形から入るのが、いちばん堅いと思います。
2|副業ナース(条件を満たせば可能)
平日は病棟やクリニックで勤務を続け、休日に医療機関の中で施術する形です。適法に続けるには、次の4つがすべて必要です。
- 施術する場所が、保健所に届け出のある病院・クリニックであること
- 医師が事前に患者を診察し、具体的な指示とカルテを作成していること
- 施術中に医師が常駐し、急変時に対応できる体制があること
- 医療事故の責任を医師と医療機関が負う契約になっていること
どれか1つでも欠けたら、その時点で条件を満たしていません。
3|フリーランス・業務委託(いちばん慎重に)
「複数のクリニックと契約して、自由に働く」。聞こえはいいですが、いまの法律の下では、いちばんリスクが高い働き方です。
実際に問題になりやすいのは、次の3つです。
- 医師が常駐していないクリニック(いわゆる場所貸し)で施術する
- 自分で機械と針を購入し、複数のクリニックに持ち込む
- 自分でSNSから患者を集め、施術内容まで自分で決める
これらは医師法・保健師助産師看護師法に触れるおそれがあります。また、色素や機器の使い方によっては、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)が関わる場合もあります。業界の実務側からも、「完全なフリーランスでの独立開業は不可能」という指摘が出ています。
どうしても業務委託で活動するなら、保健所に届け出のある医療機関と正式に契約し、必ずそのクリニックの診察室の中で施術することが条件になります。
契約書を渡されたら、次の3つの文言を探してください。
「患者募集は受託者が行う」 「機器は受託者が準備する」 「施術に関する責任は受託者が負う」
この3つが並んでいたら、一度立ち止まってください。 場所と責任を押し付けられる形になっている可能性があります。
そして、受講を考えるなら、最初に決めるのは1つだけです。
「学んだあと、どこで施術するのか」
アートメイクは、医療機関の中でしかできません。だから、技術を買う前に、場所を決める必要があります。
ここが決まっていないまま100万円を払うと、技術だけが手元に残って、使う場所がない。そういう状態になり得ます。
順番は、場所が先です。
受講前に知っておくべき注意点・デメリット
1|施術は「医療機関の中」でしかできない
これがいちばん大切です。
アートメイクは医療行為です。医師免許のない方が業として行えば医師法違反になります。しかも2025年12月26日の厚生労働省通知では、改善が見られない悪質なケースについて、刑事訴訟法に基づく告発を念頭に警察と連携する方針が示されました。
施術の名称は問われません。「○○メイク」「○○タトゥー」と呼び方を変えても、皮膚に色素を入れる行為そのものが対象です。
講習で技術を学んだあとも、施術する場所が医療機関かどうかを必ず確認してください。 サロン・自宅・場所貸しのクリニックは選ばないこと。ここを間違えると、看護師免許そのものを失うリスクがあります。
2|繊細な手技なので、自主練習の継続が必要
デザインの黄金比測定や針の深さのコントロールなど、感覚をつかむまでは人工皮膚での自主練習が欠かせません。週に数時間の練習時間を確保できるかが、上達の分かれ目になります。
3|無制限のモニター実習は「銀座通学コース」が中心
提携クリニックでの対面モニター実習は、銀座への通学がベースです。オンライン受講の場合は実習サポートの適用条件が異なるため、事前相談で確認しておきましょう。
4|費用の回収は、誰でも同じようにできるわけではない
公式サイトには受講生の事例として、月6件で約12万円、月16件で約32万円という収入が紹介されています。これは学校側が公表している事例であり、成果には個人差があります。
「受講すれば必ず回収できる」という性質のものではありません。自分の生活で週に何回施術できるかを、先に見積もってから決めるのがおすすめです。
こんな人には向いていない
正直に書きます。次のいずれかに当てはまるなら、いったん立ち止まったほうがいいです。
- 施術する場所の条件を確認せずに始めたい人(医療機関以外での施術は違法です)
- 100万円を用意して、1年以内の回収を確定させたい人(成果には個人差があります)
- 自主練習の時間を、週に数時間確保できない人(技術は手の感覚で覚える分野です)
当てはまっても、諦める必要はありません。順番を変えればいいだけです。 先に美容クリニックへ転職して、医師の管理下で実務を積みながら学ぶ。そのほうが、リスクも費用も小さく済みます。
よくある質問
Q1. 絵心やデザインセンスに自信がありませんが大丈夫ですか?
アートメイクのデザインは感覚ではなく、骨格・顔の黄金比・筋肉の動きに基づく理論です。デザインフレームの取り方を手順として学ぶため、絵の得意・不得意は関係ありません。
Q2. 准看護師でも受講・施術は可能ですか?
公式サイトの対象者欄には「看護師免許をお持ちの方」とあり、准看護師についての明記は、私が確認したページでは見つかりませんでした(2026年10月時点)。受講の可否は、無料相談で直接確認するのが確実です。
参考までに、厚生労働省の令和7年8月15日通知では、施術の前提となる「看護師等」に准看護師も含めたうえで、医師の指示の下で診療の補助を行うことができる、と整理されています。
ただし、これは通知の整理であって、スクールの受講条件や、卒業後にどこで働けるかを保証するものではありません。受講の可否と、卒業後の働き方は、別々に確認してください。
Q3. 現役で病棟勤務をしながらでも通えますか?
公式サイトでは、通学コース・オンラインコースともに、シフト勤務の看護師が学べるよう設計されていると説明されています。座学は2日間、実技練習は自宅で行う形です。
Q4. 卒業後の施術場所はどうするのですか?
銀座通学コースでは提携クリニックの紹介サポートがあります。公式サイトでは、地元でのクリニック開拓サポートも行うと説明されています。必ず「そのクリニックで医師がどう関与するのか」まで確認してください。
Q5. 費用は回収できますか?
公式サイトでは、週2〜3日・月6〜8件の施術を目安として、1年以内の費用回収を目指せると案内されています。これは目安であり、保証ではありません。 自分の可処分時間から逆算して判断してください。
まとめ
8アートメイクスクールの特徴を、整理します。
- 看護師免許保有者を対象にした、アートメイク専門のスクール
- 銀座通学コースは100万円、全国オンラインコースは50万円(公式サイトの案内)
- 座学後6ヶ月間、提携クリニックでのモニター施術が回数無制限(銀座通学コース)
- 卒業後は提携クリニックの紹介と、地元での開拓サポートがある
- 代表は看護師出身。症例5,000件超(学校の公表値)
そして、受講を考える前に必ず押さえておきたい条件が1つあります。
アートメイクができるのは、医療機関の中だけ。 医師の指示と監督が必要で、サロンや自宅ではできません。ここを外すと、どんなに技術を磨いても、看護師免許を失うリスクを抱えることになります。
安全な順番は決まっています。 まず美容クリニックに看護師として入り、医師の管理下で実務を積む。副業や独立は、そのあとで考えれば遅くありません。
そして、いちばん後悔する形は何か。
私は「回収できる前提で、お金を用意すること」だと思っています。
月6件で約12万円、月16件で約32万円。公式サイトにはそうした事例があります。ただ、これは学校が公表している事例です。同じだけ通える人が、同じだけ成果を出せるとは限りません。
回収を前提にすると、うまくいかなかったときに、判断が全部おかしくなります。無理な場所で施術しようとしたり、休めないまま続けたりする。
だから、先に「失っても平気な範囲」を決めてください。その範囲の中で選ぶ。それが、いちばん後悔の少ない進め方だと思います。
まずは「働き方」から見直すという選択肢
アートメイクは魅力的な選択肢ですが、100万円の受講料と、技術習得のための時間がかかります。
「そこまで踏み切るのは、まだ不安」。そう感じるなら、先に今の環境を変えるほうが、リスクなく一歩を踏み出せます。夜勤の回数、残業、人間関係。変えられる部分は、思っているより多いです。
8アートメイクスクールの公式サイトは、こちらから確認できます。
出典・参考
- 厚生労働省「美容所等におけるアートメイク施術について」(令和7年12月26日/医政医発1226第3号) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001624504.pdf
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」(令和7年8月15日/医政発0815第21号) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001586600.pdf
- 厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日/医政医発0703第5号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7817&dataType=1
- 医師法(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201
- 8アートメイクスクール 公式サイト https://8artmakeschool.com/
- 8アートメイクスクール スクール紹介(料金・カリキュラム) https://8artmakeschool.com/school-introduction/
- 株式会社8Artmake https://8artmake.jp/
※本記事のスクール情報は、上記の公式サイトで公開されている情報をもとに作成しています。料金・カリキュラムは変更される場合があります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。 ※本記事の情報は2026年10月時点のものです。



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